ケータイ小説

『第一部』
その若い娘は今日も朝の暗いうちから目を覚ます

谷川の冷水で体を清めるのが彼女の一日のはじまりなのです

まだうす暗い水辺に彼女の透き通るような白い肌が浮かび上がる

彼女は水の流れに逆らわず花びらのように流れてゆく
川からあがるちょうどそのころ、朝の優しい光が彼女を温かく包み込む

着替え終えるとふもとの村に朝の買い出しにゆきます
出会う村人たちに微笑みながら『好(ハオ)』と挨拶をかわしたり 楽しく話をしたりする

みなの笑顔 ほんとうに幸せそうだな
私もつい微笑んでしまう

でも彼女は明日死ぬ

でも今はそんなこと誰も知らないのです
私いがいは誰も知らないのです




『第二部』
私にだってわからないことがあるのだよ

私は生まれた時はもう一人ぼっちだった どうやって生まれたかもわからない
辺りは真っ暗だった私は怖かった誰かと話がしたかった

だから作った 人間を作った 私と同じ姿形をした人間を作った 淋しかったのだよ
人間が楽しく幸せにしているのを見るだけで私の心も幸せな気持ちになる

でも人間は死んでいく みんないつかはいなくなる
なのにワタシハ… 誰か助けて 私はいったい誰なのだろう なぜ私は生まれたのだろ 誰か教えて